保育園の玄関の設計・セキュリティ対策について

こちらでは、保育園の玄関をつくる際に、どのような点に留意しながらデザイン設計を考えていくべきか、わかりやすく解説しています。

保育園玄関を設計する際のポイント

保育園の玄関が担う役割は、単なる出入口のみにとどまりません。子どもたちが毎日利用する設備である点をふまえ、デザイン設計について考える必要があります。次に挙げるように、安全性や視認性だけでなく、機能性の高さや使い勝手の良さなども求められます。

子どもが安全に利用できる設計になっているか

毎日多くの子どもと保護者が利用するスペースであるため、安全性について充分に配慮する必要があります。たとえば、床材が滑りやすい素材だと、足を滑らせてケガをするリスクが高まってしまいます。安全に利用できるように、滑りにくい床材を採用し、さらに手すりも設置しましょう。また、照明で玄関を明るく照らしておくことも重要です。

初めて来園する人にも保育園であることが伝わるか

初めて保育園に足を運ぶ保護者などにとって、玄関は最初に目にする部分です。そのため、わかりにくい場所や迷いやすい場所に保育園を設置する際には特に、施設名やロゴを目立たせるなどして、ひと目で保育園であると判断できるデザインにしましょう。また、温かく迎え入れるような雰囲気に仕上げることも大切です。

バリアフリー設計を取り入れているか

誰もが快適に利用できるように、アクセシビリティについても考慮する必要があります。スロープの設置やベビーカー・車いすの利用者を想定したデザイン設計などが求められます。

セキュリティ対策が充分になされているか

セキュリティの強化も重要なポイントです。オートロックシステムやカードキーシステムを導入して関係者以外が保育園に立ち入るのを防ぐことで、子どもたちの安全をしっかりと守っていく必要があります。また、スマートフォン連携システムなどを取り入れれば、安全性の維持だけでなく、利便性の向上も可能になります。

ICTシステムの設置も視野に入れる

パソコンやタブレットで園児情報やスタッフの労務管理などを行えるようになる「ICTシステム」の設置についても検討してみるとよいでしょう。手書きでの書類作成やシフト作成などの業務負担が軽減されるので、その分、保育の質の向上につなげることができます。

登園時および降園時の打刻の効率化も可能です。例えば、保護者が打刻を行うスタイルを取り入れる場合には、玄関などのスペースに次のような準備をしておきましょう。

• 打刻を忘れないような場所にパソコンやタブレットを設置しておく
• 画面タッチ・QRコード・ICカードで打刻操作できるようにしておく

保護者が操作を行うことで、延長時間の切り替えタイミングのトラブルを回避しやすくなるというメリットも得られます。

保育園の玄関設計での注意点

登園時・降園時の混雑を軽減できるように動線を設計する

玄関と事務室の動線を考える際、特に重視すべき点は、登園時や降園時などの混雑しやすい時間帯にもできるだけスムーズに移動できるようにすることです。事務室のスタッフがすみやかに対応できるように、事務室と玄関がピッタリ隣接しているのが理想的です。

カウンターの設計について

カウンターは、保護者などへの対応を行う重要な場所です。そのため、コミュニケーションをとりやすくなるように、窓付きのカウンターを設置することが大切です。スタッフと保護者の間にできるだけ死角が生じないように、カウンターの高さを計算するようにしてください。

また、スタッフが気付かないうちに通り抜けられるような構造は問題です。園内に進むための扉をもう1枚設置するなどしましょう。

なお、保育園の開園にあたっては、行政との連携が欠かせません。関連する手続きに対応可能な設計事務所に相談してみることも、ひとつの方法として検討してみてください。

下駄箱のデザイン・設置場所について

下駄箱は、清潔感のあるデザインにして、好印象を与えるようにしましょう。また、設置場所をじっくりと検討することも重要です。玄関エリアの動線を妨げてしまう場所に下駄箱があると、混雑時の移動が滞るなどの問題が生じやすくなります。靴を脱いだり履いたりするスペースも忘れずに計算に入れておいてください。