少子化は保育園経営に直接影響する課題です。2025年問題といわれる、利用児童数減少による施設閉園リスクも例外ではありません。さらに慢性的な保育士不足など、保育園経営を取り巻く課題は深刻なものとなっています。本記事では、安定した保育サービスを提供するために、経営者が直面している課題を深掘りし、解決に向けた戦略を探ります。
国は少子化対策のために、待機児童対策を行い保育園の整備を推進してきました。2019年には幼児教育・保育の無償化もスタートし、子育て支援の拡充が行われています。
ところがその受け皿となる保育士が不足している問題が根底にあります。保育士の資格を持ちながら保育士に就かない人や、離職後に復職しない人も多く、その理由は待遇や労働環境にあるとされています。
人材流出の防止や魅力ある職場づくりが急務であり、応募者の獲得、定着率向上に向けて取り組む必要があります。
待機児童解消のため施設を増設したものの少子化が止まらず、地域によっては定員割れが深刻化しています。地域ごとの需給ギャップが生じており、益々、保育園経営を圧迫しているといえます。
今後は施設の統廃合や経営統合に進むことが予測され、生き残るためには独自の教育方針やサービスによる差別化を図り、選ばれる園づくりをより目指す必要があるでしょう。
保育園の収入基盤となっている公定価格や、補助金・加算制度は頻繁に見直され、その都度収益構造や事務業務に大きな影響を与えています。保育の実施主体である自治体ごとの財政状況や政策、解釈の違いによって、保育の質や運営基準に地域間格差が生じることも課題となっています。
今後は「こども誰でも通園制度」の導入など、すべての家庭を支援する方向に制度が拡大するため、新たな役割と事務負担の備えが求められます。
共働き世帯の増加やテレワーク導入など、ライフスタイルの変化に伴い、預かり時間帯や病児保育などの保育ニーズが多様化しています。
これに対応するには、従来のスタイルからより専門性を高めた質の高い保育や、付加価値のあるサービス提供への転換が求められます。同時に保育士の負担軽減対策として、ICT化や働き方改革による業務効率化による現場改善が必要です。
少子化と激化する競争の中で持続的な成長を実現するには、従来の収益モデルから脱却する必要があるでしょう。例えば、学童保育や幼児教育特化クラス、未就園児向け支援など、サービスや年齢層の拡大により、新たな収益源を確保することです。
この変化をチャンスと捉え、柔軟な発想で新たな活路を見出すことが今後の経営戦略のポイントとなります。
保育園経営を取り巻く課題は、人材確保、園児の定着、制度への対応、質の向上などが複雑に絡み合っています。これらの課題を乗り越え、持続可能な運営を目指すには、待遇改善による人材の定着、保育ニーズの多様化への対応、業務の効率化などが不可欠です。
保育園が地域の子育て支援拠点として最大限に機能し、選ばれる園となるための戦略的な経営判断が求められる転換期にきているといえるでしょう。
企業や病院の保育所は、働く人の環境もニーズも異なります。だからこそ、「どの保育施設に強いのか」「どのような特徴があるのか」を前提に委託業者を選ぶのがポイントです。