保育園を運営するにあたり、必ず求められるのが給食の提供です。給食を調理するための給食室も必要で、各保育所によって設置基準が定められています。
保育園で給食を調理するために必要な給食室には設置基準が定められています。
定員20名以上の施設の場合、独立した給食室を設置しなくてはなりません。定員19名以下の施設の場合、独立した調理室でなくても構いませんが、電子レンジや冷蔵庫などの設置が必要となります。
給食を調理する調理員の配置も必須です。調理員の人数に厳しい規定や栄養士の設置義務はありませんが、参照すべき人数基準が設けられています。定員が40名以下の施設で1名、41名以上150名以下の施設で2名、151名以上の施設では3名の調理員の配置が必要です。
子どもの食の安全を守るために、参照人数と同じくらいの人員配置を検討しましょう。
子どもたちの成長に欠かせない食事での栄養摂取。保育園の給食は、子どもの心身の発達や人間性の形成に大きな影響をもたらします。
他にも、給食室は以下のような役割も担っています。
栄養バランスの取れた給食を子どもたちに供給することで、必要な栄養素をしっかり与えることができます。日中の子どもの活動に必要な最適量のエネルギーは、免疫力を高める効果も。病気や肥満防止、栄養不足の防止にもつながります。
給食は、食への関心や理解を深めてもらう場としても有効です。給食室によって食事の大切さや食べることに対する感謝の気持ちがわかるようになります。
多種多様な食材や食感、料理を経験することによって味覚が発達する効果もあり、子どもの健康的な食習慣を形成する役割があります。
プロの栄養士が用意する献立の中には、異なる国や地域で食されている料理もあります。様々な国や地域の料理を取り入れることによって、異文化への理解や興味関心にもつながります。
保育園を設計する段階から給食室の設置について視野に入れておくと、建築する際にスムーズに進みます。ここからは、保育園設計における給食室のポイントを紹介します。
「給食室は何㎡以上でなくてはならない」というような面積の基準はありません。
ただ、保育園の給食室では、一般食の調理のほか離乳食やアレルギー食といったたくさんの調理を行います。調理だけでなく、器への盛り付けや食器の洗浄なども同じスペースで行うため、それなりの広さがなくては作業に支障をきたしてしまうでしょう。
大型の保育園なら、学校給食室の広さやレイアウトなどを参考にするのがおすすめです。
保育園を設計するとき、保育園や給食室の設計経験や実績のない会社や建築士に任せっきりにしてしまうのは良くありません。
実績のない会社の場合、保健所に確認せず、店舗や住宅と同じような広さの設備を設計してしまう可能性があるからです。適当な設計で給食室をつくってしまうと、コンロの数が足りない、狭くて作業ができない、手洗い場がなく監査のたびに指摘される、といったトラブルが絶えず、保育園の運営に支障をきたしてしまいます。
保健所や自治体とのやり取りを重ねて給食室を設計し、開園した実績を持つ会社や建築士に依頼するのが賢明です。
預かる園児の人数によっては、家庭用の厨房機器や調理器具では容量が足りず、業務にならなくなってしまいます。
家庭用のものよりも高額になってしまいますが、冷凍冷蔵庫や食洗機、炊飯器など保育園の給食室に設置する厨房機器・調理器具は業務用がおすすめです。オーブンについても熱循環の良い業務用オーブンを設置しましょう。
園児が20名以上の保育園の場合、一般給食や離乳食を作る給食室で、0歳児用の調乳に同時対応するのは難しい場合があります。園児の多い保育園では調乳専用のスペースを確保しましょう。
ゴミ箱や消火器の設置スペースも忘れてはなりません。事前にゴミ箱や消火器の設置を想定し、十分なスペースを確保しておきましょう。
企業や病院の保育所は、働く人の環境もニーズも異なります。だからこそ、「どの保育施設に強いのか」「どのような特徴があるのか」を前提に委託業者を選ぶのがポイントです。