ニーズ調査では、利用希望者がどの程度いるのかや、どのような保育環境が望まれているのかを事前に把握することが重要です。
こうしたニーズ調査を行わないまま開園してしまうと、実際には利用者がほとんどいなかったり、従業員の就業時間に合わない運営時間を設定してしまったりして、「誰も使わない保育園」になる恐れがあります。
病院や企業の現場では、就業規則だけでは分からないイレギュラーや残業などが日常的に発生しやすいため、実情に合った保育体制を整えるには職場の声を丁寧に拾うことが欠かせません。
子育て世代の人数も、想像と実数とでは開きがある場合があり、大規模施設だからといって利用者が多いとは限らない点に注意。また、就業時間と保育園の開園時間が合わなければ、朝夕の送り迎えが遅刻や残業を招きやすくなるといったリスクもあります。
このように、保育園が「安心・安全・安定」して運営されるためには、まずもってニーズを正確につかみ、利用者や現場の状況を総合的に考慮することが成功への第一歩になります。
主に「利用を希望する従業員数」「利用したい時間帯や曜日」を最初に把握することが肝心です。
病院ではシフトや夜勤、企業では繁忙期や退勤しづらい空気などによって、求められる保育時間は大きく変動します。そのため、単に朝から夕方まで預かればよいというわけではなく、業務形態に合わせて柔軟なスケジュールを検討する必要があります。
加えて、夜間保育や日祝保育をどの程度望むか、病児保育が必要か、幼稚園との二重保育のニーズはあるか、といった追加オプションの希望も重要な調査事項です。
もし利用者が少なければ、オプションの導入コストだけがかさみ、運営費の無駄につながりかねません。細やかな要望としては、「送り迎えや弁当準備の負担を減らしたい」「教育カリキュラムを充実させてほしい」「急な残業にも対応してほしい」などが考えられます。
人数だけでなく、こうした声をしっかり集約し、運営内容の方向性を明確にすることが、質の高い保育環境づくりに必要といえます。
開園前のニーズ調査は、失敗を回避し「使われ続ける保育園」をつくるために欠かせないプロセスです。利用者の勤務環境や子育て世代の実数を正しく把握することで、開園時間・定員の設定、夜間・日祝・病児保育などの導入可否を現実的に検討できます。
また、すべての要望に応える必要はなく、あくまで施設や企業が保育園を設置する目的に合致し、運営可能な範囲に絞って対応することが重要です。
大がかりな運営を一度にスタートさせるよりも、まずは最小限のスケールで始め、実際の利用状況を見つつ必要に応じて拡張するほうがリスクを抑えられるでしょう。
企業や病院の保育所は、働く人の環境もニーズも異なります。だからこそ、「どの保育施設に強いのか」「どのような特徴があるのか」を前提に委託業者を選ぶのがポイントです。