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企業主導型保育所と事業所内保育所の違い

ここでは、企業主導型保育所と事業所内保育所の基準や設定上の違いについて解説しています。

事業所内保育事業って何?

企業主導型保育事業

「事業所内保育事業」とは、子ども・子育て支援新制度における地域型保育事業の一つで、企業が事業所の従業員の子どもに加えて、自治体の認可を受けて地域住民の保育を必要とする子どもにも施設を提供するものです。

定員が20人以上なら保育所型事業所内保育事業、19人以下の場合は小規模型事業所内保育事業と分けられています。両者で保育従事者の配置基準は少し異なりますが、設備に関する運営基準はどちらもほぼ同じで、0・1歳児は1人あたり3.3平方メートル以上、2歳児は1人あたり1.98平方メートル以上の保育室が必要になります。

地域型保育事業とは

地域型保育事業とは、平成27年からスタートした「子ども・子育て支援新制度」で新たに創設されたもので、0~2歳児を対象として地域の保育ニーズにきめ細かく対応することで待機児童の解消を目指します。

3歳以降は連携園などに転園が必要ですが、待機児童の9割を占める0~2歳児を受け入れることで、問題解決につなげようという考え方です。

保育施設の分類の中では認可保育所、幼保連携認定こども園と並んで認可保育所等に属するもので、その中には家庭的保育事業、小規模保育事業、事業所内保育事業、居宅訪問型保育事業が含まれます。

企業主導型保育所と事業所内保育所の違い

子ども・子育て支援新制度で、内閣府は平成28年度から企業主導型保育事業をスタートしました。そこで、これまでの事業所内保育所と企業主導型保育所の違いを説明します。

事業所内保育事業 企業主導型保育事業 
認可 市区町村の認可が必要 認可必要なし
導入費用 大企業は全体の1/3、中小企業は2/3まで助成 最大で設備費・運営費の95%が助成される
職員資格 定員20人以上:保育士
定員19人以下:保育従事者(半数以上保育士)※保健師、看護師・准看護師のみなし特例(1名まで)保育士以外は研修実施
保育従事者(半数以上保育士)※保健師、看護師・准看護師のみなし特例(1名まで)保育士以外は研修実施
対象年齢 制度上0~2歳児(3歳児以降は連携園に入園) 対象年齢の制限はなし
地域枠 定員の1/4は地域枠として開放が義務 1/2までの範囲で地域枠の設定が可能

参照元:企業主導型保育事業ポータル(https://www.kigyounaihoiku.jp/

認可の違い

最も大きな違いとして挙げられるのが認可の違いです。事業所内保育所は認可保育所に分類され、地域型保育事業の一環である事業所内保育事業の中にあります。つまり、市区町村の認可を受けて実施するものなのです。

これに対し、企業主導型保育所は認可外保育施設に位置づけられます。企業と利用者は直接契約となり、企業は自治体に認可を受けることなく保育所を開設が可能。また週2回のみといった柔軟な保育サービスが実現できます

導入費用の違い

企業主導型保育事業と事業所内保育事業では、費用も異なります。その理由は、保育園の種類の違い。企業主導型保育事業が認可外保育園として設置されるのに対し、事業所内保育所は市区町村の認可を受けて設置されます(2016年4月以降は新規設置を停止)。そのため助成制度や助成金額も違っていて、一般的に助成金の上限額が多い企業主導型保育事業のほうが導入費用を抑えられるとされています。

助成金制度の違い

助成金制度は、それぞれ以下のようになっています。

事業所内保育事業 企業主導型保育事業 
設置費(設備費) 大企業:全体の1/3(上限1,500万円)
中小企業:全体の2/3(上限2,300万円)
施設整備に必要な費用の3/4
増築費 大企業:全体の1/3
(上限は増築750万円、建て替え1,500万円)
中小企業:全体の2/3
(上限は増築1,150万円、建て替え2,300万円)
なし※支給されるケースもある
運営費 大企業:職員1人当たり年額34万円(上限1,360万円)
中小企業:職員1人当たり年額45万円(上限1,800万円)
最大で全体運営費の95%
(平成30年より中小企業は最大97%)
申請場所 都道府県労働局 公益財団法人 児童育成協会

※企業主導型保育事業は設置費・運営費を併せて支給されるため、増築費の助成項目がありません。ただし園児が増えて施設を増築した場合、申請が通れば整備費および運営費が助成されます。

※企業主導型保育事業の助成金制度は、新規で保育事業を行う場合は対象外(令和2年までに保育事業を始めている方対象など)であることに注意してください。

保育士配置基準の違い

保育士配置は以下の表を規定のベースに考えます。

乳児 3人につき1人以上
満1歳以上満3歳に満たない幼児 6人につき1人以上
満3歳以上満4歳に満たない幼児 20人につき1人以上
満4歳以上の幼児 30人につき1人以上

事業所内保育所では、定員19名以下だと規定+1名以上の配置が必要です。企業主導型保育所では、定員数にかかわらず2分の1が保育士ならよいという基準です。

地域枠の設定上の違い

事業所内保育事業は、地域型保育事業の一環として行われるものなので、設置した保育所の定員の4分の1程度は地域枠として開放しなければいけないという義務が生じます。つまり、必ず地域と企業でシェアしなければいけないのです。

一方、企業主導型保育所では、「定員の2分の1までの範囲で地域枠の設定が可能」となっています。したがって、従業員の子どもだけで定員に達しない場合は地域に開放もできますし、100%従業員向けに利用することもできるのです。

年齢の違い

事業所内保育事業は、待機児童解消のために創設された地域型保育事業の中の一つで、制度上の対象年齢は0~2歳児となっています。3歳児以降は、連携園に優先的に入園することができる仕組みですが、運営者は連携園を見つけることが課題となります。

企業主導型保育所は、認可外保育施設で対象年齢について制限は無し。行政に届け出は必要ですが、指導チェック下に置かれることはなく3歳以上の子供を受け入れるところも多くあります。

委託の違い

企業主導型保育事業、事業所内保育事業ともに、業務委託契約を結ぶことが可能です。(再委託は不可)ただし給食に関しては委託ができないため、自園調理または提携施設からの搬入を行う必要があります。

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人員や面積などの設置基準は変わらない?

企業主導型保育所は認可外保育施設に位置づけられますが、人員や面積などの設置・運営基準に関しては原則的に事業所内保育事業と準ずるかたちになっています。特に指定がない事項については、認可外保育施設の基準を遵守します。

一部違いとして挙げられるのは職員の資格で、事業所内保育事業は定員20人以上と定員19人以下では保育士の配置条件が分かれますが、企業主導型保育事業ではすべて事業所内保育事業の定員19人以下の場合(小規模保育事業)と同じで、保育従事者のうち1/2が保育士、保育士以外は研修実施となっています。

企業主導型保育事業と事業所内保育事業のメリット・デメリット

企業主導型保育事業のメリット・デメリット

メリット

企業主導型保育事業の最大のメリットは、自治体による認可が必要ないこと。認可保育園は保育士の配置や設置場所などさまざまな基準が厳しいので、開設が難しくなります。そのため、届出のみで開設できる企業主導型保育事業は企業にとってプラスに働きます。

また、導入費用も助成金申請をすれば最大95%まで負担してくれることも利点です。条件によって異なりますが、地域枠や対象年齢の規制も緩く、地域枠は全体の1/2まで自由に設定可能。対象年齢の制限もありません。 運営が難しくなった場合、外部への業務委託も可能です。

デメリット

制限が緩い企業主導型保育事業では、人が少なく十分な保育サービスを提供できないのではないかという懸念もあります。認可保育園である事業所内保育よりも基準が低いため、一人ひとりに目を向けられず、結果として保育の質が低下してしまう可能性が否めません。

また、自社運営では施設の設置から集客、助成金の手続きまで自分たちで行わなくてはならず、運営に大きなコストをかけざるを得ません。また、知識不足を補うために外部にコンサルティングを依頼する場合もあります。

事業所内保育事業のメリット・デメリット

メリット

事業所内保育事業のメリットは、市区町村の認可施設で一定の保育サービスが保証されている点です。職員の配置基準も定員数でしっかり決められており、一人ひとりの保育がしやすいという強みもあります。

設備費、増築費、運用費それぞれに助成金があり、会社の規模によって決まった金額が支給されます。そのため、運営コストを算出しやすく経営の負担が削減。他の保育園と同じように業務委託も可能で、コストを抑えやすい運営形態となっています。

デメリット

一番のデメリットとなるのは、開設の難しさです。事業所内保育事業に限らず、認可保育園は設置基準が厳しいこともあり、申請しても通るまでに時間がかかるといわれています。

また、定員の1/4を地域枠にすることを義務付けられているので、従業員向けの枠は少な目。預かれる子どもの対象年齢については2歳までという制限があります。

事業の違いを踏まえ、自社に合った制度を活用しましょう

企業主導型保育事業と事業所内保育事業はどちらも異なるメリットがあるため、保育する人数や年齢によって適した制度を利用するのがおすすめ。かかる費用や助成金、認可の違いなどを見過ごしてしまうと、のちのち運営に苦労するかもしれません。違いをしっかり把握して、自社にとってより運営しやすい事業を選んでくださいね。

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選定ポイントは
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