病院内保育所の種別や内容を説明。また、病院内保育所を導入している事例も紹介しています。
病院内保育所とは、病院に勤める医師や看護師、その他職員の子供を預かる目的で設置される保育所のことをいいます。病院は24時間365日稼働するため、そこに勤務する人の子供の預け先がないことが問題でした。
そこで、独自に病院内に保育施設を設けたことが始まりとされ、比較的小規模なのでじっくり保育ができるとされています。また、子供が病気の際も病院に近いのですぐに対応が可能です。
近年では、人手不足という背景もあり、病院に勤務する職員の離職率を下げたり、採用の際の人材獲得のために病院内に保育所を設置するケースが増えています。
病院内保育所そのものには種類はありませんが、自治体などから保育所運営費補助を受ける際には次の表のような種別があり、補助率が変わってきます。
補助の条件として、「原則12ヶ月運営している」「1人当たり平均月額1万円以上の保育料を徴収している」ことなど定められているため、事前に確認しておくことが必要です。
種別 | 保育児童数 | 保育士等数 | 保育時間 |
---|---|---|---|
A型特例 | 4人未満 | 2人以上 | 8時間以上 |
A型 | 4人以上 | 2人以上 | 8時間以上 |
B型 | 10人以上 | 4人以上 | 10時間以上 |
B型特例 | 30人以上 | 10人以上 | 10時間以上 |
病院内保育所は自営することも可能ですが、慣れない運営に手間がかかり非効率になることがあります。経営効率アップには、外部の専門業者に委託するという方法があり、次のようなメリットが考えられます。
院内保育事業運営費・設備費補助金制度は、医師や看護師といった医療従事者の離職の抑制および職場への定着の促進を目的とした制度です。病院内保育所に対し、人件費をはじめとする運営費用の一部を予算の範囲で補助を行います。合わせて、入院治療の必要はないものの、安静の状態を保持しておく必要のある集団保育が難しい児童の保育も行います。
この制度は、女性の医療従事者が多い職場で、育児と仕事を両立しやすくすることを目的としています。また、助成の対象は院内保育所のみとなっています。
助成金の対象となる施設は、以下の3つの条件をすべて満たすものと定められています。
事業内容としては、子供を預かり保育することで一緒なのですが、サービスを利用できる保護者に違いがあります。一般保育は各施設で条件はあるかもしれませんが、共働き世帯の子どもであれば、職種関係なく預けられる施設です。一方院内保育は、医師や看護師の子どもを対象に保育を実施します。(※企業内保育の一種としても考えられるため、”地域枠”として施設がある地域の子どもの受け入れ可能。)
運営や保育内容など、一般保育との違いはサービス面にもあります。主に3つの違いをまとめました。
一般保育は、企業勤めの会社員を対象としている所が多いため、開園時間は7時~18時となっている所が一般的となっています。一方で、院内保育はシフト勤務で働く医師や看護師の子どもを預かるための保育室となっていますので、開園時間が一般保育と比べ長めに設定されている所が多いのが特徴です。
病院の中には、24時間体制で勤務シフトを組んでいる所が少なくありません。子どもをもつ医師や看護師が夜勤シフトに入りやすいように、365日24時間稼働している院内保育所もあります。一般保育所でも、勤務時間の遅い保護者に対応して延長保育を実施している所もありますが、院内保育のように深夜帯まで対応している所は殆んどありません。
一般保育の場合は開園時間が決まっているため、同じ時間帯に子供たちが一斉に登園してきます。しかし、院内保育の場合はシフト勤務にあわせて預かり時間に対応しているため、登園時間が固定されておらず、開園時間内で登園してくるのが通常です。日中勤務のため朝預けに来ることもあれば、夜勤に合わせて夕方以降に預けに来ることもあります。登園時間に柔軟性があるのも、一般保育とは異なる点と言えるでしょう。
院内保育での過ごし方や、主な1日の流れを見てみましょう。
毎日利用する園児が違ったり登園時間が違ったりなど、同じ活動ができないため基本的には自由に遊ばせるスタイルのようです。施設によってはプログラムを取り入れているところもあるかもしれません。1人1人の園児と向き合うため、自由保育をメインにしているところが多い印象。タイムスケジュール的には、一般保育とほとんど変わらないようです。
夜間や早朝だけでなく、24時間対応で子どもを預かることを24時間保育といいます。保護者が安心して働けるというメリットもあり、シフト勤務の職場では仕事と子育てを両立させるため、24時間保育が重宝されています。
企業や病院の保育所は、働く人の環境もニーズも異なります。だからこそ、「どの保育施設に強いのか」「どのような特徴があるのか」を前提に委託業者を選ぶのがポイントです。