ここでは、24時間保育とはどういう内容の保育のことなのか、そのメリットや病院での導入事例などを紹介しています。
認可保育園では、標準保育時間が11時間(東京都は13時間)と定められています。これを超えて子供を預かることを延長保育と呼び、就労などの理由による場合には、一部で延長保育の利用ができます。
認可外保育園の場合は、保育時間の制限がないため夜間や早朝に開所時間を設定したり、場合によっては24時間保育を行っている施設もあります。18時以降に行われる保育は夜間保育、24時間対応の場合は深夜保育とも呼ばれます。
病院などシフト勤務が日常的に行われる職場では、仕事と子育ての両立のためにこうした夜間保育や深夜保育が望まれています。
24時間保育の最大のメリットは、保護者が安心して働けるということ。例えば、看護師が務めている病院に24時間保育施設が無い場合、出産後に子供を預かってもらえる施設が見つからないことで、夜勤などに入れず仕事を続けられなくなります。24時間保育が病院にあることで、看護師の離職率が下がるのです。
もう一つ病院内保育所のメリットとしては、勤務する病院が運営しているという安心感です。外部の深夜対応の認可外保育所の中には、劣悪な保育環境や事故が問題視されることもあります。保護者としてはどうしても不安が残ります。やはり就労状況をよく理解している、企業内保育所や病院内保育所の方が安心できます。
24時間保育を導入した病院のきっかけや、その効果について紹介します。
職員数1,600名を擁する総合病院Kでは、以前より院内保育所を設置し自営していましたが、保育スタッフを安定して確保する目的から外部業者へ運営も含めて委託。
通常は7時~22時まで開園していますが、夜勤スタッフの調整のため、週に2回だけ24時間体制で保育所を運営してもらっているそうです。24時間対応だけでなく、保育内容に関してもリクエストに応じてもらうなど、専門業者の委託メリットを享受できているそう。
保育所の存在によって、産休・育休後も仕事を続けたい希望する職員も多いようです。また、保育所で他の職員と顔合わせる機会があることで、コミュニケーションの場としても活用の幅が広がっています。
託児施設を新しく設置したA病院の事例です。結婚や出産を機に離職する看護師の多くが、子どもを安心して預けられる場がないという理由からでした。
A病院では、看護師が仕事と育児を両立できるよう保育所を開設し外部業者に委託。開園後は、子どもを預ける場所があることから、看護師が復職するケースが増えたそうです。
また、夜勤のシフト調整が大きな業務負担となっていたため、24時間365日で保育所の運営を依頼。保育所の運営体制を変えてからは、夜勤をスムーズに組めるようになり業務負担も削減されたそうです。他にも、求人に保育所の有無を掲載したところ応募者が増加したなど、人材確保の面で嬉しい効果が現れています。
女性医師や看護師が安心して働ける環境を整える目的で、院内保育所を設置。保育所の運営は外部業者に委託しているそうですが、夜勤対応できるよう24時間保育の実施を始め、一時保育や病後児保育など、病院スタッフが利用しやすいよう柔軟な対応を依頼しているそうです。
また、採用した看護師がすぐ子どもを預けて働けるように、受け入れについても改善されています。柔軟な保育サービスによって、本来の設置目的であった「職員が安心して働ける環境」を実現している例と言えるでしょう。
病院スタッフの増加に伴い、多様な働き方に合わせた保育サービスの拡充を図る目的から、保育所の運営を外部業者に委託。24時間365日開園しており、年齢別保育、病児・病後児保育などにも対応しています。
また、利用者からの要望を受けて、園舎をリニューアルした際に広い園庭を設置するなどの対応もしています。病院スタッフが安心して仕事に集中できるよう、ニーズに対応した保育運営がされています。
企業や病院の保育所は、働く人の環境もニーズも異なります。だからこそ、「どの保育施設に強いのか」「どのような特徴があるのか」を前提に委託業者を選ぶのがポイントです。