少子高齢化を背景に増加している介護施設と保育園の複合施設。介護施設利用者(以下、利用者)と保育園児(以下、園児)との多世代交流により、利用者と園児はもちろん、職員・運営事業者にとっても、非常に良い影響を与えています。
ここでは、介護と保育の複合施設が持つ3つの特徴と2つのメリットを説明します。
保育園では保育士からの教育、介護施設では介護士からのケアが一般的です。しかし複合施設では、利用者に対して保育士が介護ケアに関わったり、逆に介護士が園児たちの教育に関わったりと、より広い角度から保育・介護を行うことができます。すると、通常とは異なる視点からケアプランの見直しや、保育サービスの改善につながることもあり、新たなサービスが生まれることもあります。
園児の遊戯室と介護施設の機能訓練室を同じホール内に設置することで、自然に利用者と園児が触れ合える空間を演出する工夫が施された複合施設も少なくありません。必要に応じてカーテンで視線を遮るなど、多様な使い方もできます。このように、子どもたちの様子を目にする機会を多くすることで、介護施設利用者に良好な精神的効果を与えられます。園児たちも多世代との自然な交流を通して、柔軟な発想力や豊かな表情を身につけることにつながるでしょう。
介護ケア・保育サービスを通して交流イベントを行うことで、双方の職員同士での評価を言いあえる場を設けられます。介護施設・保育園を単独で運営していると、狭い環境でしか改善策を練ることができませんが、異なる職種の人材が参画に加わることで、より一層充実したサービス・サポートを行うことができるのも複合施設ならではでしょう。
共用スペース(遊戯室・機能訓練室・食堂・通路など)を複合化することで、設置・運営コストを抑えることが可能です。また、既存施設や土地の有効活用もできるので、開設・運営に必要なコストの削減にもつながります。
子を持つ職員は、同一施設内に子どもを預けられるので、送迎や新たに保育園を探す手間が軽減されます。このように女性が働きやすい環境を実現することで、女性の離職・退職を阻止することが可能です。さらに、今後子どもを持つ予定のある人や、子育て中の人などにとってもメリットを感じるため、新規採用にもつながります。
複合施設では、運営事業者や職員に多大な負担がかかってしまいます。利用者と園児の間で、多彩な交流イベントが開催され、多世代交流できる複合施設。このイベントは運営事業者や職員を主体に実施されています。そのため交流促進やサポートを熱心に行っている事業者ほど、大きな負担を抱えているのです。これ対して、如何にして負担を軽減する体制を整えられるかが、複合施設を運営する上での課題でしょう。
介護と保育の複合施設は少子高齢化の改善策のひとつとして注目されています。そのため、今後も複合施設の需要は増加する傾向にあるでしょう。しかし上記したように、課題となるのが職員・事業者への大きな負担です。
そこで、委託保育園のニーズが高まっているのです。保育士の採用~教育、必要な手続きの処理、保護者への問い合わせ・クレームへの対応など、煩雑な運営管理業務を負担してくれます。なにより、保育サービスの経験やノウハウを豊富に持っているので、安心してサービスの提供を任せることができます。
このように複合施設の需要が高まるのと同時に、委託保育園のニーズも高まっているのです。
企業や病院の保育所は、働く人の環境もニーズも異なります。だからこそ、「どの保育施設に強いのか」「どのような特徴があるのか」を前提に委託業者を選ぶのがポイントです。