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保育園の安全・事故防止対策

ここでは、保育園に求められる安全対策や園内外の事故の発生リスクが高い場所、損害賠償責任が生じた場合の事例について紹介していきます。

保育園に求められる安全対策とは

幼い園児たちの命を守る安全対策は、保育園を運営する上で必須です。お散歩時や遊具を使用しての遊び、園内施設での転倒・転落等、園児たちには様々な危険が降りかかります。どのように対策をとることで、それらの危険を回避できるのかを見てみましょう。

危険が潜む!保育園で起こるヒヤリハット

園内施設

トイレ

トイレ用洗剤を誤って飲んでしまったり、床が濡れていて転倒したりと、意外に危険性の高いトイレ。こまめに清掃すること誤飲のリスクがあるものは園児たちの手が届かない場所に隠すなどの対策が必要です。

園庭

転倒や園児同士の衝突、遊具でのケガは、非常に多いヒヤリハットです。夏場は、設置したビニールプールで水遊び中の事故も起こり得ます。これらの事故は目を離した隙に発生することが多いため、事故を未然に防ぐには、当然ですが園児たちから目を離さないようにしましょう。

園外活動

お散歩

お散歩時は自動車や自転車、歩行者に注意を払いましょう。好奇心旺盛な園児たちは突然走り出すこともあります。そのとき、車道に急に飛び出すと命の危険を脅かす大きな事故に発展する可能性もあります。自転車や歩行者に衝突し、ケガすることも考えられます。そのため、交通量の少ない時間帯に散歩をする等の対策をとりましょう。

公園

遊び慣れた園庭ではないため、遊具への激突、滑り台や鉄棒からの転落といったトラブルが発生しやすい場所です。また、遊具の間に指や首が挟まったりする恐れもあります。強い日射がある日は金属部分が高温になるため、ヤケドにも注意が必要です。訪れる公園の危険箇所を事前にチェックし、子どもたちから目を離さないことを徹底しましょう。また、熱射病の危険性がある場合は室内遊びを心がけるのも安全対策には欠かせません。

食事

のどを詰まらせる

噛む力や飲み込む力が十分に発達していない子どももいます。そのような園児は、のどに食べ物を詰まらせる可能性があるため、万が一に備えて応急措置法を学び、園児に合った固さや大きさの食事を提供することが大切です。

食物アレルギー

他の園児と同じものを誤って配膳してしまい、生命に関わるアレルギー症状を起こしてしまう事故もあります。調理・受け渡し・配膳等の全過程での指さし確認やアレルギー物質の情報共有、配膳ミスをなくすために一般食の食器との色分けを行うなどの対策が必要です。

病気・アレルギー 

突発的な病気はもちろん、先天性の病気・アレルギーが発症する可能性も考慮しましょう。定期的な体温チェックや、園児たちを注意深く観察することで、病気が発症してもスムーズに病院と連携でき、保護者にも連絡することが可能です。また、先天性の病気やアレルギーは職員同士の情報共有がとても大切なので、園児ひとりひとりの疾患や病気にかかる頻度等を把握しておきましょう。

法律で生じる損害賠償責任と事例

事例1:高温発熱園児への未処置による死亡

  • 園の賠償責任と事故原因
    発熱した園児に対して、発熱後の再検温や病院への搬送、自宅への連絡等の必要措置を怠り、園児を死亡させた疑いで損害賠償の支払いを命じられました。園児の安全対策をしっかりと行っていなかったことによる債務不履行責任が問われました。
  • 債務不履行に基づく損害賠償責任(民法第415条)
    園は園児の安全を確保した業務を行わなければいけませんが、配慮すべき義務を怠ったために起きた事故に関して賠償責任が生じるという法律です。
  • 賠償額
    2,500万円

事例2:簡易プール付近で遊んでいた園児が死亡

  • 園の賠償責任と事故原因
    簡易プールが設置された場所付近で遊んでいた園児が誤ってプールに侵入し、溺れてしまった事故です。当時3歳だった園児は処置を受けましたが命を落としました。事故当時、プールの近くに監視者の役割を持つ教員が配備されていなかったため、教員への過失責任が生じます。そして、業務中の事故なので、園に対しても使用者責任が生じます。
  • 使用者責任に基づく損害賠償責任(民法第715条)
    園の職員が原因、もしくは落ち度などが見受けられる場合は、職員の使用者である園に対して責任が問われます。
  • 賠償額
    3,300万円

事例3:遠足中の溺水により植物状態に

  • 園の賠償責任と事故原因
    遠足中、目を離した隙に湖上式遊歩道から園児が転落。後遺障害1級と認定され、回復の見込みが全くない植物状態となりました。園の職員と園児のみで行われた遠足であり、保護者同伴ではなかったため、教員の過失であることは明らかです。園児自身も3歳という幼さだったため、危険回避能力が欠けていたことも明白でしょう。さらに、遊歩道内に設置された転落防止用の柵も75cmのため、構造上の欠陥ではありません。したがって、教員の過失となりました。
  • 使用者責任に基づく損害賠償責任(民法第715条)、及び債務不履行に基づく損害賠償責任(民法第415条)
  • 賠償額
    7,200万円

安全対策に基づいたガイドラインについて

小さな子どもを預かる保育園では、残念なことに大規模事故や死亡事故が後を絶ちません。そこで「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」が制定されています。このガイドラインに沿って、事故の予防、発生時の適切な対応について、園関係者が情報共有することが園児たちの安全確保には必要です。

事故を防止(予防)するために必要なこと

重大事故が発生しやすい場面の対策

園児の年齢(発達)により危険となり得るものや、トイレや園庭、保育室等の危険が発生しやすい場所、遠足やお散歩等の活動内容に留意した事故予防が必要です。

  • 窒息リスク対策
    常に園児から目を離さず、寝かせ方に配慮することで睡眠時の安全や誤飲、ケガ等の予防に繋がります。
  • プール活動
    園児の監視を行う人、園児にプール指導を行う人といった役割分担した教員を配置し、園児から目を離す機会がないような体制をとることが重要です。
  • 誤嚥
    小さな子どもはオモチャや食事を誤嚥することが多々あります。そのため園児の食事や健康状態に関する情報を共有することが大切です。また、オモチャの誤嚥は乳児に多いため、乳児のいる部屋には窒息リスクのある玩具等を手の届く場所には置かないよう注意することも必要です。

保育施設の従業者の資質と知識の向上

保育園従業者は、安全確保に関する研修に参加しなくてはいけません。そしてその研修を経て、救急対応や事故発生時の適切な処置方法を学び、安全な環境を整備するための職員の資質と知識を向上する必要があるのです。

緊急時の体制を整えること

緊急を要する事故はいつ起こるか分かりません。そのため、事前に緊急時の役割分担(心肺蘇生・応急措置・病院への同行・保護者への説明等)を決定しておくことで緊急時にスムーズに対応することができます。また、通報先のリストや緊急連絡先、通報時に伝えるべき項目を整理し、通常業務中にいつでも確認できる場所に掲示しておくと良いでしょう。

保護者や地域住民などの関連機関と連携すること

園児の安全確保には、地域住民などの協力が必要不可欠です。だからこそ、日頃から地域の人とのコミュニケーションを欠かさず、必要なときに力を借りられる関係性を築いておかなくてはいけません。また万が一に備えて、事故等が起きた際には援助・協力の依頼をしておくことも大切です。

子どもと保護者への教育

子ども自身が危険な場所や事故発生時の約束事を把握することも大切です。そのため、保護者との連携を図りながら、子どもが安全に保育園で活動できる生活習慣を身につける必要があります。もちろん、教員も園児への教育を怠ってはいけません。

施設や設備などの安全チェック

施設や施設内設備における安全確保チェックリストの作成が有効です。このチェックリストを基に定期的に危険箇所の把握を行うことで、事故等のリスクを軽減します。そして、その情報をすべての職員が共有しなくてはいけません。

発生防止のための体制づくり

ここまで紹介してきたように、事故の発生防止のためにはすべての職員が安全確保のための体制に携わることが大切です。そうすると組織力が問われるため、施設長・事業所長が主導し、より体制を整えながら安全確保に努めるべきでしょう。

事故の再発防止のために必要なこと

事故の検証・再発防止策の策定

既に発生した事故を検証し、それが防げるものだったのか、再発防止のためにはどのような対策をしなくてはいかないのかを検討し、再発防止策を策定します。

職員や保護者などの関係者への周知徹底

再発防止策を策定した後、その内容を職員や保護者に共有することを徹底します。

幼い園児を守るための安全対策を徹底しよう

ヒヤリハットはここで記載したものだけではないので、園で発生したヒヤリハットはしっかりと記録に残し、必要な安全対策を徹底しましょう。また、ガイドラインに則った対策を行うことで、安全対策の整った保育園を運営できるでしょう。

ただ、自営による安全対策が不安な方も少なくありません。その時は委託経営でガイドラインに沿った経営サポートを受けることも、選択肢のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。

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