保育園を経営するにあたって、まず大切になるのが「保育目標」の設定です。これは、子どもたちが日々どのように園で過ごし、どのように成長していくことを目指すのかという、園の方針や価値観を明確にする指針です。単なるスローガンではなく、園の根幹となる理念から導き出された「目指す子どもの姿」を具体的に示したものといえます。
たとえば「思いやりのある子」「元気にあいさつができる子」など、子どもたちに育ってほしい姿の目標です。こうした目標には、「この園に通った子どもたちが、こんなふうに成長して卒園してほしい」という願いやビジョンが込められています。そして、それは保護者や地域社会に対しての園の約束でもあります。
保育目標は、園の特色を表す重要な要素であり、職員の保育実践や教育計画にも直結します。経営者として園の開設を考える際には、自園が大切にする子ども像をしっかり描き、その方向性を保育目標として明文化することも必要です。
「保育理念」とは、その保育園がどんな価値観を大切にし、どのような子どもの成長を願っているのかを表す、園の根本的な信念です。たとえば「すべての子どもが安心して自分らしく過ごせる場所をつくる」といった言葉がこれにあたります。この理念は、園の全体像を方向づける羅針盤ともいえる存在であり、経営の最上位に位置する概念です。
次に「保育方針」とは、その理念を実現するための具体的な取り組みや方法を示すものです。日々のカリキュラムや行事、職員の関わり方、環境の整え方など、実際の運営に直結する内容が含まれます。方針が明確であればあるほど、職員の保育行動に統一感が生まれ、園全体として一貫性のある保育が可能になるのです。
関係性として、まず保育理念が決められ、、それを実行するための方法が「保育方針」として定められます。その後、具体的な子ども像としての「保育目標」が設定されるのです。
保育目標は、園全体としてどのような子どもを育てたいかという大きな方向性を示すだけでなく、年齢ごとに異なる成長段階に合わせた、より具体的な目標の設定が必要となります。
なぜ年齢別の目標が求められるのかというと、子どもの成長は早く、たとえば0歳児と4歳児とでは、発達の状態も日々の関わり方も大きく異なるからです。それぞれの発達段階に応じた目標を設けることで、現場の保育士がどのような保育を行えばよいかを明確に理解し、適切な保育実践を行うことができるようになります。
目標の立て方に関して、基本的には厚生労働省が公表している「保育所保育指針」というガイドラインを参考にしながら作成するのが一般的です。この指針には、子どもたちの年齢ごとにどのような発達を見込み、どのような支援が望ましいかといった内容が示されており、保育目標の土台として有用です。
経営者としては、まず園の理念や方針と整合性のある全体目標を設定したうえで、それを年齢別に細分化していくことが求められます。こうすることで、園全体の方針と日々の保育活動とがしっかりと結びつき、子どもたち一人ひとりの成長を的確に支援できる環境が整います。
保育士の保育の質も高まり、保護者からの信頼にもつながることでしょう。
企業や病院の保育所は、働く人の環境もニーズも異なります。だからこそ、「どの保育施設に強いのか」「どのような特徴があるのか」を前提に委託業者を選ぶのがポイントです。