ここでは、院内保育所を設立するまでの流れや必要となる費用、業者に委託するメリットについて解説しています。
病院内保育所を設立する流れですが、まず企業内保育所と同じで最初に設置場所を決めます。一般企業に比べると、同じ建物内に設置するケースが多いですが、隣接する場所に新たに設けることもあります。いずれにしろ、開設には建物や環境などの一定基準をクリアする必要があります。
場所が決まったら開園までのスケジュールを立てて、保育所の規模や施設に受け入れる対象、スタッフの配置人数などを決め、備品を納入したり自治体対応を行います。
基本的には企業内保育所と同じですが、病院内という点が違います。
企業内保育所の場合、設置する保育所は1階というケースが多いですが、病院内保育所は必ずしも1階に設置するとは限らず、建物の関係でむしろ2階以上の場合が多いと考えられます。
2階以上になると乳幼児の転落事故を防止する設備を設けるなど、児童福祉施設最低基準の要件に適合することが条件になります。また、建物が耐火建築物か準耐火建築物で、特に4階以上では特別避難階段か、屋外避難階段が無いと設置が難しくなりますので注意が必要です。
看護師を配置し、安静室を設けることで体調不良児を預かることもできるようになります。
安静室を設ける場合は、体調不良を起こした乳幼児(体調不良児)が2人以上、横になることができ、1人当たりの面積が原則として1.98㎡以上あること、寝具などを用意し、救急医薬品を備えていることが求められます。
企業内保育所でこうした構造・設備の基準を満たすためにはスペースだけでなく様々な準備が必要になります。しかし、病院の場合はこうした環境はすでに整っている、あるいはすぐに整備可能な状態なので比較的簡単に設置することができます。
企業内保育所の運営では、緊急事態が起こった場合に迅速・適切に対応できるように医療機関との協力体制を確保することが必須となっていますが、病院内保育所の場合は運営主体が医療機関となります。
したがって、体制を固めるために外部と相談したり交渉したりする必要はなく、病院内で対応を検討するだけなのでスムーズに進められます。
病院内に設置する保育所であっても、運営の継続性については注意をしなければなりません。
運営が困難になる理由としては、保育士不足によりスタッフの確保が非常に難しい状況であることがいえます。このような状況では、給与や労働環境などの条件が悪いと保育士が定着しません。
もうひとつは園児の確保です。保育所の継続運営のためには、数年先までの園児の数の増減を想定することが大事です。場合によっては、病院内だけでなく近隣地域からの受け入れなどの検討も必要になります。
企業や病院に関わらず、保育所設置・運営に関わる二重の助成金は受けることができないので注意が必要です。例えば、企業主導型保育事業の助成を受けたくても受けられないケースがあります。
すでに地域型保育給付又は特例地域型保育給付を受けている施設や事業所、「地域医療介護総合確保基金」や「事業所内保育施設設置・運営等支援助成金」の助成を受けている場合は、企業主導型保育事業の助成の対象外になるため、選択を誤らないように気を付けましょう。
保育サービスの質はそこで働く保育士に深く関係します。当然ながら、保育士の労働環境が悪ければそのままサービスの低下につながります。特に、病院内保育所は自営の場合もあるので管理体制が重要です。
病院では、夜勤の看護師に合わせて24時間体制ということも多いですが、看護師のシフトに引きずられる形で保育士に負担がかかることになります。看護師と保育士が同じ病院の職員同士だと、信頼関係が崩れかねないので注意が必要です。
院内保育所設立のために、特別な資格が必要になるわけではありませんが、そこで働く保育士は当然ながら保育士資格は必須です。
病院には、入院中の子供をサポートする医療保育士や病棟保育士がいますが、病院に勤務するスタッフの子供を預かるのは院内保育士と呼ばれ区別されます。医療保育士は、看護と深い関わりを持ちます。
保育所を開設するために必要な費用は、物件を保育所として整えるためにかかる費用の約300万円と、トイレットペーパーや事務用品などの備品が100万円、その他、保育士募集などの費用を合わせて、500万円程度になります。
大きな病院では、院内保育所を直営することもありますが、割合的には外部の委託業者に運営を任せることが多いです。助成金の申請や、保育士募集や備品の調達などは、経験・ノウハウが無いとなかなか前に進まないからです。
委託するメリットとしては、開業までの手続きや準備の手間が省けることと、病院の職員ときっちり分けて運営がスタートできることです。
自営で、看護師も院内保育士も同じ職員という立場になると、お互い不平不満を感じトラブルになることもありますが、外部に委託すれば保育士の配置人数もスムーズに決まり、煩雑な事務手続きも行わなくて済みます。
企業が企業主導型保育所/事業所内保育所の運営を委託するとき、頼りになる特徴を持つ3社を紹介します。
多様なニーズに応えて
満足度アップ
開設~運営まで
トータルサポート
豊富な実績を生かし
各企業にあった保育所運営
【選定基準】
2021年10月22日掲載の「日経MJ(流通新聞)第39回サービス業調査」に掲載されている保育サービスの34社または、2023年6月時点「保育委託」と検索して出てきた会社上位30社の中から、下記特徴別に選定。
・トットメイト…預かりの対象年齢の変更と1名から24時間保育運営に対応し、ベビーシッター派遣サービスのノウハウがある専門スタッフがサポート(参照元:トットメイト公式HP https://totmate.jp/enterprise/enterprise/)
・アピカル…物件探しから対応可能(参照元:アピカル公式HP https://www.apical.jp/jigyousyo.html)
・アイグラン…保育所運営実績No.1(2022年9月7日調査時点)(参照元:アイグラン公式HP https://aigran-jigyosyonai.hoiku-en.net/)
企業や病院の保育所は、働く人の環境もニーズも異なります。だからこそ、「どの保育施設に強いのか」「どのような特徴があるのか」を前提に委託業者を選ぶのがポイントです。