企業主導型保育事業について、知りたい人に向けて背景や助成決定企業の事例などを紹介しています。
企業主導型保育事業がスタートした背景には、「待機児童問題」があります。政府は「待機児童解消加速化プラン」に基づいて、保育の受け皿整備を進めていますが、当初40万人だった受け皿の目標を50万人まで拡大しました。
このうちの5万人分については、仕事・子育て両立支援事業の1つである企業主導型保育事業で確保しようということで、実施されることになったのです。枠組みを柔軟にすることで、企業の拠出率を引き上げる狙いがあります。
企業主導型保育事業は、待機児童対策として2016年4月に内閣府がスタートした制度です。企業主導型の事業所内保育事業のことで、様々な就労形態に対応することで保育所の受け皿を増やし、育児と仕事の両立を促すことを目的としています。
認可施設ではないため、自治体から保育の必要性を認定してもらう必要がありませんので、負担が少ないです。複数の企業が共同で設置することも可能。開所時間も自由で働き方に応じた、多様で柔軟性のある保育サービスの提供ができるのが特徴です。
国の制度である企業主導型保育事業では、助成金や共同設置など会社にとって便利な補助が受けられます。多くの従業員のニーズに対応できることから、メリットの大きな保育園設立の方法といえるでしょう。 運営方法は自社と委託に分かれており、それぞれかかる費用や負担の割合が異なります。どんな保育園・託児所を運営したいのかイメージを明確にしないと、結果的に自社の負担が重くなることも。コストを比較し、適した運営方法を選ぶことが大切です。
児童育成協会のデータによれば、平成30年1月31日現在の企業主導型保育事業助成決定数が2,190施設でした。その約1年前は施設だったことから考えると、企業主導型保育事業が急速に浸透し始めているといえます。
助成が決定すると、設備費と運営費に対して手続きが必要になりますが、すべて電子申請システムを使って行われるので手間がかかりません。実際に助成が決定した企業は、不動産会社やタクシー会社、メーカーなど業種は様々です。
事業所内保育所は認可保育所に分類され、地域型保育事業の一環である事業所内保育事業の中にあります。つまり区市町村の認可を受けて実施するもので、定員の4分の1程度は地域枠として開放しなければいけません。
これに対し企業主導型保育所は認可外保育施設に位置づけられるため、自治体に認可を受けることなく保育所を開設することができます。企業と利用者は直接契約となり自治体の関与はなく地域枠無しも許可されています。
企業主導型保育事業の共同利用とは、複数の企業が従業員向け保育サービスとして同じ保育施設を使うこと。1社だけで設置する「単独設置型」と、施工段階から複数の企業が協力する「共同設置型」があります。どちらでも、保育園の運営は自社運営・外部委託を選択可能です。
共同利用を行うことで、運営リスクを軽減したり、初期費用の分担などのメリットが見込めます。ただし、事前に利用定員数や費用負担を明確にしておく必要があります。
多様化する保育ニーズに対応するため新設された地域型保育事業。厳しい認定基準・運営基準を設けており、より良い保育サービス提供の場を確保するとともに、社会問題化している待機児童の問題解決の可能性があるため注目されています。
地方自治体では、それぞれ異なった企業主導型保育施設の支援制度を実施しています。東京には「企業主導型保育施設設置促進助成金」という制度があり、各種備品や設備の導入に対して助成金を出しています。
また、公益財団法人「東京しごと財団」では、企業内保育施設設置相談窓口を設置して企業内保育施設の設置手続きや助成金に関する相談を受け付けたり、各種セミナーを開催したりしています。
企業主導型保育事業は、夜間に対応可能なケースが多いのが魅力です。ただ企業にとってはコストがかかる・スタッフを確保できないなどの問題点も。一方で夜間対応があることで離職率低下や就職希望者アップなど、魅力的な企業と評価されるプラスの点もあります。
企業主導型保育園を運営するなかで、監査対応は重要なポイントになります。安定した保育園運営するためにも、事前に監査について、しっかりと理解しておきましょう。
企業主導型保育事業の運営については自社で行うこともできますし、委託運営する選択肢もあります。運営委託の内容や手続きなどを確認して、自社運営した方がよいのか、委託運営した方よいのか検討してみてください。
企業や病院の保育所は、働く人の環境もニーズも異なります。だからこそ、「どの保育施設に強いのか」「どのような特徴があるのか」を前提に委託業者を選ぶのがポイントです。