保育園の照明を節電する方法として挙げられるのが設備の変更です。照明が消費する電力は全て同じではなく、種類によってかなり異なります。少しでも節電したい場合は、現在使っている照明の種類をチェックしてみましょう。
中でも節電効果が期待できるのがLEDで、切り替えることによって電気代を減らせる可能性があります。もちろん設備投資コストはかかるものの、設置後はランニングコストが抑えられます。保育園は毎月かなりの電気代がかかりますので、LEDの恩恵を受けやすいといえます。
LEDは蛍光灯タイプや一体型、ダウンライトやランプなど、さまざまな種類があります。寿命も長いため、一度交換すれば長期間使い続けることが可能です。さらに照度や人感センサーを設置すれば、自動で点灯・消灯できるため、ムダな電力の消費を抑えられます。
なお、LEDは色温度・演色性によって見え方が変わります。選ぶ際はしっかり確認しておきましょう。また、LEDへの交換時に工事が必要なケースもあります。対応可否が分からない時は、電気工事業者に確認してもらうとよいでしょう。
空調・換気設備を節電するうえで重要なのが温度管理です。空調や換気設備の消費電力は、温度設定によって大きく変動します。そのため、季節や状況に合わせた温度管理を徹底することが大切です。保育所内で温度管理を徹底するために、ルールを決めたり、マニュアルを作成したりなど、明確な基準を設けておくとよいでしょう。
環境省では、冷房の設定温度を28度(※1)、暖房の設定温度は20度(※2)にすることを推奨しています。体感温度は人それぞれ異なりますが、温度の基準で迷った場合、夏は28度・冬は20度を目安にするとよいでしょう。
一方、空調の温度を28度以下または20度以上にした場合、消費電力は増えるので注意が必要です。ただし、極端な低温(高温)も体調不良をまねく可能性もあるため、適切な温度を心がけましょう。
空調の効率を高めるために、扇風機やサーキュレーターなどを活用するのもおすすめです。冷気・暖気は上または下に留まりやすい性質があります。そのため、扇風機などで空気を循環すれば、室内の温度を均質化できます。室内の温度ムラがなくなるため、空調設備の効率もアップします。なお、扇風機やサーキュレーターは消費電力が少ないため、ランニングコストはさほど増えません。
窓の断熱性能を高めるために、遮熱フィルムを導入するのもよいでしょう。窓が大きな部屋に設置した場合、空調設備の効率が高まる可能性があります。特に日差しが強い夏場は、遮熱フィルムが省エネに寄与します。
保育園で多く導入されている床暖房。節電したい場合、運転時間のルールを決めておきましょう。運転開始時間と停止時間を明確にすれば、無駄な電力を消費せずに済みます。ただ、その日の気温によって状況が変わるため、暖かい日はこまめに運転を停止しましょう。
暖房と同時に運転する手もあります。暖房で部屋がしっかり暖まったら、床暖房のスイッチをオフにするとよいでしょう。また、床暖房を使う範囲を限定するなど、その時の状況に合わせて運用するのもおすすめです。
厨房設備の節電で重要なのが冷蔵庫の使い方です。作りたての熱い料理を冷蔵庫で保存する場合、しっかりと冷ましてから中に入れましょう。熱い状態で冷蔵庫に入れると、庫内温度が上がってしまいます。かえって電力消費量が増えるため、節電したい時は十分に冷ますことが求められます。
また、厨房換気の運転も適正化しましょう。調理中のみ使い、準備・片付け時は運転を停止することで、換気設備の電力消費を抑えられます。風量も状況に合わせてこまめにコントロールしましょう。
この他にも、保育園の節電に寄与するさまざまな機器があります。余裕がある場合は導入を検討してみましょう。
デマンド監視機器の導入も節電につながります。デマンド監視機器は、電力需要(デマンド)を常時予測し、目標値を超えそうになった時にアラートを通知する装置です。自動制御が付いた機器の場合、照明や空調設備などの一部を自動で停止します(自動制御がない場合は手動で対応が必要)。
一方、デマンド監視機器で設定した電力の目標値を下回った場合、アラートは解除されます。このような仕組みにより、無駄な電力消費を抑えられるほか、スタッフの節電意識を高められます。また、電力の使用状況を可視化できるため、実態を把握することが可能です。
太陽光発電設備の導入も検討してみましょう。設置費用はかかるものの、電気代の削減につながる可能性があります。また、太陽光という電力源を確保できるため、停電や災害にも備えられます。
企業や病院の保育所は、働く人の環境もニーズも異なります。だからこそ、「どの保育施設に強いのか」「どのような特徴があるのか」を前提に委託業者を選ぶのがポイントです。