ほとんどの保育園では、シフト制を採用しています。しかし、シフト管理は想像以上に難しいもの。シフトの振り分けが上手くいかず、毎月悩んでしまうケースも多いでしょう。
そこで、保育士のシフト管理が難しい理由を紹介します。
まず、前提として労働基準法に従ったシフト管理を行う必要があります。
そのため、「1日8時間・週40時間まで」というルールに基づき、保育士全員のシフトを組みます。
しかし、保育園では延長保育を受け入れていることもあり、閉園時間までの人員を配置するためには出勤時間をずらすなどの工夫が必要です。
また、土日や祝日にお泊りイベントなどで出勤した場合は、平日に休む必要があります。そのため、シフト管理が更に大変になります。
国では、保育園における職員配置基準を設けています。
「1歳児の子ども〇人に対して、保育士◯人」といった最低基準があり、その時間帯に受け入れている園児の年齢や人数によって必要な保育士の数が異なります。そのため、「この時間帯だけ保育士が1人足りない」という事態になることも。その場合、保育士に残業を頼むケースも少なくないでしょう。
一般的に、保育士には早番・中番・遅番といった種類があります。保育士を各シフトに配置し、人員が不足している時間帯がないようにします。
しかし、すべての保育士が時間帯を選ばずに働けるわけはなく、「小さな子どもがいるから遅番には入れない」といった事情も考慮しなければなりません。従って、保育士の希望通りにシフトを組むだけで必要な人員を確保するのは難しいでしょう。
円滑かつ安全に保育業務を遂行するためには、保育士の組み合わせも考える必要があります。たとえば、相性の悪い保育士同士の組み合わせを極力避けたり、ベテラン保育士を分散させて配置したり。
「ただでさえ人員確保に苦労しているのに、組み合わせまで考慮していられない!」と思うかもしれませんが、シフト管理において無視できない問題なのです。
保育園のシフト作成は、簡単ではありません。そこで、一般的な保育園のシフトの組み方を紹介します。
まずは、「毎日7時~11時に勤務」「9時~18時までの勤務で、毎週水曜日は休み」といったように、勤務が固定されている職員のシフトを組みます。固定勤務の職員は、毎回同じクラスに入ってもらうと良いでしょう。
職員のシフトを組む前に、全職員の休み希望を反映させましょう。シフトを組んだ後で休み希望を反映させると、「せっかくシフトを組んだが、休み希望を出していたためつくり直し」という事態になってしまいます。
次に、早番・遅番の職員を決めましょう。職員の生活リズムも考慮し、「遅番の次の日に早番」といったシフトは避けます。ある程度ローテーション化しておくと、シフト作成がスムーズになります。
作成したシフト表を確認しながら、勤務時間の調整を行います。「この日のこの時間にイベントの準備をしたいから、その時間帯に保育をする職員が必要」といった事情も考慮しておくことが大切です。
当日になって、「職員配置基準を満たしていない時間帯がある」というわけにはいきません。そのため、シフト表を作成した後に、常に配置基準を満たしているかどうかを確認しましょう。とくに複数の職員の休み希望が重なっている日は、配置基準に満たない可能性があるため要注意です。
保育園のシフトを管理する際、以下のポイントに注意しましょう。
「いつも同じ職員が遅番に入っている」というように、出勤時間に不公平感が生じるとトラブルの元になってしまいます。早番や遅番は、前日や当日、翌日のプライベートの予定に支障をきたすため、ローテンションなどによって出勤時間の偏りがないように配慮しましょう。
保育士の休憩時間や保護者との面談の時間には、保育にあたる職員が不足する可能性があります。人手が足りずに事故やトラブルが生じるリスクがありますので、別の職員を該当クラスに配置するといった対策を行いましょう。フリーの保育士を確保しておくと、イレギュラーが発生しても柔軟に対応できます。
新人保育士が勤務する時間帯には、ベテラン保育士を配置しましょう。経験不足による事故やトラブルを防げるうえ、新人保育士の成長も期待できます。また、あえて中堅の保育士を新人保育士と組むことで、中堅保育士のスキルアップも狙えます。
企業や病院の保育所は、働く人の環境もニーズも異なります。だからこそ、「どの保育施設に強いのか」「どのような特徴があるのか」を前提に委託業者を選ぶのがポイントです。