ここでは、保育園における安全計画についてまとめています。安全計画を運用するポイントなどをまとめていますので、ぜひチェックしてください。
2022年に児童福祉法の一部が改正されたことによって、「保育所等における安全計画の策定」が義務化されました。
これまで、保育園における児童の安全確保は都道府県等が条例で定めていましたが、2023年4月以降は国が定める基準へ従うこととなります。
具体的には、保育施設ごとに安全確保の取組計画を定めます。年度が始まる前に安全計画を策定し、「施設の設備等の全点検」のほか、「園での活動・取り組み(園外活動を含む)における、職員や児童に対する安全確保の指導」、「職員への各種訓練・研修等の児童の安全確保に関する年間スケジュール作成」なども実施。園内での活動に限らず、散歩や送迎時などの安全確保も行います。
安全計画は、ただ策定するだけでは意味がありません。策定した内容をすべての職員が理解し実践しなければなりません。そのため、職員研修や訓練を行います。
また、児童や保護者への安全指導も重要です。たとえば、施設を利用する児童の保護者に対し、安全計画に基づく取り組みの内容を周知することが大切。児童福祉法では「施設長など保育所等の運営を管理すべき立場にある者は、実際に児童に保育を提供する保育士等の職員に周知するとともに、研修や訓練を定期的に実施しなければならない」と定められていますから、児童や保護者への周知徹底は義務といえるでしょう。
さらに、安全計画は定期的に見直すことも重要です。必要に応じて計画内容を変更することで、現場に即した安全計画となるでしょう。
安全点検では、保育施設の設備点検を行います。設備とは、備品や遊具のほか、防火設備や避難経路などが挙げられます。また、保育園内のみに限らず、園児の散歩コースや公園など、園児が定期的に利用する場所の点検も行います。
さらに、児童の動きを適切に把握するための役割分担も重要なポイント。とくに午睡や食事、プール、水遊び、園外活動、バス送迎などは事故リスクが高いため、職員の役割分担が必要です。
なお、安全点検は定期的(毎学期1回以上)に文書として記録します。保育園を利用する児童は年齢によって注意すべきポイントが異なるため、年齢別のチェックリストを作成することが望ましいでしょう。そして、文書を作成するだけではなく、改善すべき点を実際に改善することが大切です。
児童への安全指導では、児童の発達や能力に応じた方法で安全指導を行うことがポイント。児童自身が保育施設での生活で安全や危険を認識できるよう、指導しましょう。災害や事故が発生した際に、約束ごとや行動の仕方を理解し実践できることが大切です。また、交通安全についても学ぶ機会が必要でしょう。
また、保護者への説明・共有も行います。保護者自身が安全にかかわるマナーやルールを守ることはもちろん、児童が交通安全や不審者対応について確認できる機会を設けてもらいましょう。
実践的な訓練や研修を行うことで、災害時や事故発生時に適切な行動がとれるようにします。
避難訓練を行う際は、地震や火災だけではなく、地域の特性に応じた災害を想定しましょう。また、心肺蘇生法やAEDの使用等の救急対応や、不審者の侵入を想定した実践的な訓練も行います。
なお、研修や訓練については、常勤保育士だけではなく、非常勤職員も含めたスタッフ全員が受けることが大切です。
施設を運営するうえで発生したヒヤリ・ハット事例を収集します。そしてその要因分析を行い、必要な対策を講じましょう。もしも事故が発生してしまったら、再発防止策を講じるだけではなく、安全計画を見直し、全職員で共有しましょう。
企業や病院の保育所は、働く人の環境もニーズも異なります。だからこそ、「どの保育施設に強いのか」「どのような特徴があるのか」を前提に委託業者を選ぶのがポイントです。