保育園を運営するうえで欠かせない「防音対策」。園児や近隣住民が快適に過ごせるよう、保育園で防音対策を行っておくことが重要です。
「保育園の建設を検討していたものの、近隣住民から騒音を理由に反対され、建設を断念した」というニュースを耳にしたことがある方も多いでしょう。
保育園には0歳児~就学前までの園児がたくさん在籍しており、集団活動などを通して健やかな成長を目指します。元気いっぱいの園児たちが歌ったりはしゃいだりする声を「ほほえましい」と感じる方もいますが、近隣に住む方にとっては「毎日大きな音を聞かされると、日常生活に支障が出てしまう」と問題になることも。
しかし、園児らが発する声や出す音を制限することは難しいでしょう。そのため、保育園に防音対策を行うことが重要です。
保育園では、具体的にどんな音が発生するのでしょうか?
たとえば、園児が園庭で活動する際にでる声の騒音レベルは、70~80dB程度というデータがあります。プールなどの特別な活動では、大きな歓声があがることで、さらに騒音レベルがアップするでしょう。
また、室内で歌を歌ったりリズム運動を行う際には、80~90dB程度の騒音レベルに達します。建物による遮音を考慮すると、50~70dB程度の騒音が外に伝わっており、窓を開放している場合はさらに騒音レベルがアップします。
参照元:日本騒音制御工学会|保育施設から出される音について[※PDF](https://www.ince-j.or.jp/wp/wp-content/uploads/2020/11/42-3-1.pdf)
園児たちに音の発生を我慢させることは、困難なうえ、知育上にも問題があります。そのため、保育施設に防音対策を行いましょう。
保育園を新設する場合は、レイアウトを行う時点から防音対策を行うことが大切です。周辺の道路や住宅の状況を確認し、どの配置で園舎と園庭を置くべきか検討しましょう。
また、室内のどこにスピーカーを設置するかも重視したいポイント。周囲の住宅に騒音が聞こえにくいよう、スピーカーの設置位置や方向を工夫する必要があります。そして、スピーカー使用時には、不必要に大きな音を出さないようにしましょう。
たとえば、室内で歌を歌ったりリズム運動を行う際には、窓を閉めることで防音効果をアップすることができます。窓を開放しているときと閉めているときでは外へ漏れ出る騒音レベルが異なるため、必要に応じて窓を閉めましょう。
保育園の防音対策として、最も効果を期待できるのが防音壁などの遮音対策でしょう。
たとえば、壁に防音パネルを設置する・窓を二重サッシにして音漏れを減らす・保育施設の建物を囲むように遮音壁を設置するなどの方法が挙げられます。
なお、防音壁などのハード面における防音対策は重要ですが、レイアウトや窓を閉めるといった工夫も欠かせません。「防音壁を設置したから防音対策はOK」と考えるのではなく、園児と近隣住民が健やかに過ごせるよう、保育園での防音対策を徹底しましょう。
防音対策のひとつに「保育施設を囲むように遮音壁を設置する」という方法がありますが、景観等の観点で採用しにくいケースもあるでしょう。
その場合は、植林も効果的。どのくらい防音できるかは植林の密度や生育具合などによって異なるものの、植林によって保育園で発生する騒音を軽減させることができます。
保育園の騒音に関する苦情のなかには、「送迎時の保護者の話し声がうるさい」というものもあります。送迎時に保護者同士が立ち話をすることで、話し声が近隣住民に不快感を与えてしまうケースです。
保護者が原因となる騒音苦情は多くはないものの、「園児や近隣住民が快適に過ごせるよう、騒音には注意して欲しい」といったお願いをしておき、騒音対策についての理解を促すと良いでしょう。
騒音に抱く不快感は、「どんな相手が発している騒音なのか」によっても少々異なるといいます。
たとえば、「自分の子どもや友人の子どもが大きな声を出していても不快に感じないが、知らない子どもの発する大きな声はうるさく感じてしまう」という例があります。よく知らない相手に対しては不快感を抱きやすいということでしょう。
そのため、近隣住民に保育に対する理解をもってもらうことが重要。近隣住民や地域住民と交流をもち、保育への理解を得られるよう努めましょう。
企業や病院の保育所は、働く人の環境もニーズも異なります。だからこそ、「どの保育施設に強いのか」「どのような特徴があるのか」を前提に委託業者を選ぶのがポイントです。