保育園における給食は、
・施設内にスペースを確保し、保育園が自営で給食を提供する方法
・外部の給食委託会社に、献立作りから調理までのすべてを任せる方法
のふたつに分けられます。
給食に使う食材の選別や献立にこだわった給食を子どもたちに提供できます。地域で栽培された新鮮な野菜や果物を選んだり、あるいはスタッフが品質を自分で確かめてから選んだりしているところもあります。また、子どもたち一人ひとりに合わせて調理を行うなど、柔軟な対応をしやすくなるところも、注目すべきメリットだといえるでしょう。
スタッフが給食の時間に子どもたちの様子を見守ることで、どの子どもが食にどのような関心や好みを持っているのかを把握できます。また、保護者とコミュニケーションをとる機会も生まれやすくなるため、きめこまやかな対応も可能になります。
子どもの日や七夕、クリスマスなど、さまざまなイベントにピッタリの献立を提案できるようになるのも、注目すべきメリットだといえます。また、おやつのメニューにも工夫をこらして、イベントをさらに盛り上げることもできます。
自営するとなると、どうしても全体の業務量が増えます。具体的には、給食の調理をまかせられる調理師や献立を考えられる栄養士を雇用するところからスタートする必要があります。さらに、そういったスタッフの管理のほか、食事の衛生管理および品質管理に関する責任も生じます。
調理師と栄養士を採用すると、その分の人件費がかかります。そのため、経営があまり安定していない場合には、複数人の給食スタッフの雇用はかなり難しいでしょう。
さまざまな施設に対して給食を提供している、いわば給食づくりのプロフェッショナルともいえる給食委託会社。そのため、ベースとなるマニュアルなども充実しており、給食の品質が安定しています。
食品等事業者を対象に義務化されている「HACCP(ハサップ)」という管理手法により、管理体制が整っているところも注目すべきメリットです。つまり、食材の仕入れから出荷にいたるまでのプロセスで、食中毒菌による汚染や異物混入などを防ぎ、安全性を確保する体制が整っていると言えるのです。
給食づくりを外部に委託すれば、調理師や栄養士の雇用や人材育成、衛生管理など、さまざまな業務負担が減ります。食材の仕入れや給食の調理に加え、配膳にも対応している会社もあるため、保育園側のスタッフは、その分、子どもの食事介助業務などに集中しやすくなります。
給食委託会社が、自社が所有する調理施設で給食の調理を行う場合は特に、充分なコミュニケーションをとる機会を確保するのが困難になります。そのことが、たとえば伝達が正確に届かずになんらかの齟齬が生じるなどの原因になってしまうこともあります。
現場の意見やリクエストなどが反映されるまでに、自営の場合よりも、長い時間がかかることが多いです。マニュアルをもとに給食の提供を行っているため、保育園からの要望に、きめこまやかに対応できるとは限らないのです。
給食を自営で対応するか外部会社へ委託するかについて決めようとする際には、複数の要因をふまえて考える必要があります。
小規模保育園であり、かつスタッフが足りている場合には、園児ひとりひとりの事情に柔軟に対応できる自営がおすすめです。一方、大規模保育園であり、かつスタッフが不足している場合には、外部委託をして品質が安定した給食を提供し続けられる体制を整えるほうが、得られるメリットは多いといえます。
自営であっても外部委託であっても、コストを重視しすぎると品質が低下するため、給食への満足度も低下してしまいますが、あまりにも高い品質を求め過ぎると、経営に響いてしまうおそれもあります。ちょうどよいバランスを見極めて、判断する必要があります。
ここでは、保育園給食委託会社の選び方について解説します。
給食における食育は、保育園の評価に影響を与えやすいため、無視できないポイントです。委託先の会社が、園児の年齢や発育に適した献立を考えたり、子どもたちが食材に触れるイベントを開くなどして、食育につながる機会を設けているかどうかを確認しましょう。
「アレルゲン表示」「食材の代替対応」「調理器具・食器を分けているか」「誤配防止対策」など、食物アレルギーへのきめこまやかな対応の有無も、大切なポイントです。
採用している調理方式についての確認もわすれずに行いましょう。調理方式には、派遣されてくる栄養士・調理師が保育園内の厨房で調理する「現地調理方式」のほか、急速冷却した料理を再加熱の上、提供する「セントラルキッチン方式」などがあります。後者の場合は、冷却した料理を保管する機材が必要になります。
企業や病院の保育所は、働く人の環境もニーズも異なります。だからこそ、「どの保育施設に強いのか」「どのような特徴があるのか」を前提に委託業者を選ぶのがポイントです。