ここでは、企業主導型保育事業の助成金獲得に必要なことと、申請代行に対応する業者について解説しています。
保育園によって助成金の申請は異なりますが、特に企業が運営する企業主導型保育事業は手続きに専門的な知識が求められる書類もあります。
そのため、業者を選ぶ際は助成金申請のサポートをしてくれるかどうかもポイントの一つとして押さえておきましょう。
企業主導型保育事業では設備費と運営費、2種類の助成金があります。このうち設備費は書類に不備がなければスムーズに進められるでしょう。しかし、運営費は1ヵ月ごとに実績報告や月次申請が必要です。そのため、申請の仕方を知らないと手続きに手間取ることに。
スムーズに進めるためには、助成金申請のノウハウがあり、書類の作成やアドバイス等の補助をしてもらえる委託業者を選ぶことをおすすめします。
自社運営と委託運営で、助成金の申請方法に大きな違いはありません。準備する書類や申請の仕方も同じなので、自社で全て対応できるならば依頼しないほうが良いでしょう。
しかし、これまでに助成金の申請をしたことがない場合は専門的な手続きに時間がかかります。申請の期日は決まっているため、手続きでもたついてしまうと申請が通りにくくなる可能性も。早めに助成金の支給を決めておきたいなら、業者に頼るのも一つの手です。
企業主導型保育事業の助成金の流れは以下の通りです。
開設の3ヶ月前までに助成金の申請書類を提出します。
書類に不備がなければ約3週間後に支給が決定します。
支給決定通知書の到着後から保育所開設までに備品類を購入します。
整備費の助成額確定通知書の受領後30日以内に実績報告書等の書類を提出します。
実績報告書に基づき最終助成額が決定し通知書が届きます。
助成金請求書を提出すると1~2ヶ月後に助成金が支給されます。
1ヶ月の実績報告書や月次申請書類を作成し、提出します。
1ヶ月後、見込み分の助成金(運営費のみ)の過不足分を精算します。
企業主導型保育事業の助成金の流れは以下の通りです。
開設前に委託会社へ書類の作成や現地調査を依頼します。
委託会社が依頼内容をもとに現地調査や書類作成を実施し、公的機関に提出します。
書類に不備がない場合、約3週間後の支給決定通知が届きます。
整備費の助成額確定通知書の受領後30日以内に実績報告書等の書類を提出します。
実績報告書をもとに最終助成金額が決定・通知されます。
助成金請求書を提出すると1~2ヶ月後に助成金が支給されます。
委託業者が1ヶ月の実績報告書や月次申請書類を作成し、提出します。
1ヶ月後、見込み分の助成金(運営費のみ)の過不足分を精算します。
設備費、運営費でそれぞれ以下の書類が必要になります。
認可保育園は公立と私立がありますが、どちらにも自治体から補助金が支給。公立の認可保育園では、運営費の大半が補助金で賄われています。管轄となっている自治体は保育料に年齢別の補助金を合わせて各保育園に振り分けているようです。
私立も補助金での運営ですが、経営元によって補助金の額は変化します。例として、東京都では一般企業運営の保育園よりも社会福祉法人が運営する施設のほうが、補助金は高額です。
補助金は在籍している児童の数によって変わります。公立の認可保育園では年度初めの児童数で補助金額が決定。加えて、児童の年齢も補助金額に関わってきます。各自治体により変わるため一概には言えませんが、東京で職員が10年以上勤続している施設では、0~5歳までの児童数が各10名ずつの場合、上乗せ分を含めて700万円の補助金が下りるようになっています。
例として、世田谷区の自治体からの補助金を除いた1人当たりの保育単価を以下の表でまとめました。
年齢 | 年齢 1人当たりの保育単価 |
---|---|
0歳児 | 210,000円 |
1歳児 | 135,000円 |
2歳児 | 135,000円 |
3歳児 | 78,000円 |
4歳児 | 69,000円 |
5歳児 | 69,000円 |
保育単価の中には人件費や教材費、給食費などの費用が詳細に設定されていて、年齢が上がるにつれて保育単価は低くなっていきます。そのため、0歳児と4~5歳児では金額に3倍の差があるのです。
認証保育園の補助金制度は認可保育園・企業主導型保育園のどちらとも異なります。補助金を支給してもらうには、各自治体に申請して審査を通らなくてはいけません。
大まかな流れは企業主導型保育園と同じですが、提出書類や審査過程は別物です。交付申請書や事業計画書、収支計画書など合計16枚の書類が揃っていないと受付してもらえないため、不備が無いよう気を付けましょう。
例として、世田谷区の認証保育園運営費補助申請に必要な書類をまとめています。
(参照元)
事業所内保育施設の助成金に関しては、公益財団法人児童育成協会が事業を実施しています。おおむね制度内容は企業主導型保育事業と同じですが、支給される助成金の額が異なります。
事業所内保育施設では助成率の区分を大企業と中小企業で分けており、設置費は大企業が1/3、中小企業が2/3です。増築費は大企業で1/3、中小企業で1/2と大きく割合が違ってくるので、自社の規模を把握しておく必要があります。
また、限度額も決まっているため、企業主導型保育事業よりも負担は大きいようです。
企業主導型保育施設は認可外保育施設として運営しているため、助成金を受け取るには厚生労働省による「認可外保育施設指導監督基準」を守る必要があります。もし監査により基準から外れていると規約違反とみなされ、支給取り消しや返還を求められることに。そのため、開設の際は関連法令や運営基準を遵守しているか確認しましょう。
自社運営では事前準備から申請、受給後の月次報告までを社内で対応しなくてはいけませんが、保育業者に委託する場合はその限りではありません。近年は助成金の補助をしてくれる会社も多く、書類作成や月次報告の代行など専門的な知識が必要な業務も担ってくれるケースが多くなっています。
業者によって対応範囲はさまざまですが、自社で対応しにくい現地調査や関連法令の確認、加算申請まで行ってくれる業者なら、手続きごとにいちいち社内の人員を割くことなく円滑な運営ができるでしょう。
ただし、業者ごとに料金が異なるため、依頼前にチェックしておかないと、運営前に余計なコストをかけることになりかねません。自社でできる範囲を確認し、必要な手続きだけサポートしてくれる業者を選ぶことをおすすめします。
企業や病院の保育所は、働く人の環境もニーズも異なります。だからこそ、「どの保育施設に強いのか」「どのような特徴があるのか」を前提に委託業者を選ぶのがポイントです。