保育園を開業する際には、法令や自治体が定める基準に則っていることを確認した上で、設計やレイアウトを慎重に決定していくようにしましょう。また、使い勝手のよさや、年齢の異なる園児がそれぞれ快適に過ごせる間取りなども重要ポイントです。
該当する制度の法令や基準、そしてさらに、自治体が定めているルールも必ず確認しましょう。そのうえで、それらに違反しないよう注意を払いつつ、建築士などと一緒に設計やレイアウトなどを考えていくことが大切です。
建築士との打ち合わせを経て、大まかなレイアウト案を作成したら、その内容が法令違反や基準違反などになっていないかどうかを確かめることをおすすめします。市区町村役場の保育課で相談してみてください。レイアウトを実際に完成させてしまった後では、違反に気付いても取り替えしがつかないからです。
使い勝手のよいレイアウトにするための重要ポイントのひとつが、収納スペースの充実度です。保育園のレイアウトを考えるときには、収納スペースについての検討や検証があまり充分に行われないケースが多々あります。けれども、保育園業務においては、思ったよりもはるかに多くの布団や机、イス、遊具、慎重系、体重計、書類などを収納する必要が生じるのです。
いつも物であふれかえってゴチャゴチャした状態が続くようだと、あたらしい設計・レイアウト・設備も台無しになってしまいます。整然としたきれいな園内をキープするためには、特に保育室・事務室・廊下・玄関周辺、園庭にそれぞれ、大きめの収納スペースや納戸を設置しておくことをおすすめします。
お手洗いや洗濯室、給食室などの水回りは、床下や壁の内側に配管を通すような工事によって設置される設備です。そのため、一度設置してしまうと、変更したり追加したりするのは、かなり困難です。ですので、水回りのレイアウトを考える際には慎重さが求められます。
保健所の基準をしっかりと満たしていることや、子どもたちのケガの原因となる危険がないことなどを確認しましょう。また、園児や職員の動線についても考慮に入れることが大切です。
ひとくちに園児といっても、0歳から5歳までの年齢幅があります。0歳児はまだ赤ちゃんですが、5歳児ともなればもうすぐ小学校に上がる子どもです。そのため、すべての園児を同じ保育室で過ごさせるのは、どうしても無理があります。
少なくとも年齢層を3つに分け、それぞれの専用保育室をつくるのが理想的です。そして、その内のひとつは、0歳児専用とするのが望ましいです。
玄関は、特に広さと鍵について検討を重ねるようにしましょう。
園児の数が多い場合には、一定以上の広さが必要です。特に、送り迎えの時間帯には、保護者と合わせるとかなりの人数でごったがえしますし、また、外遊びの際は点呼を行う場所になるので、ある程度の空間的ゆとりが必要になるからです。
また、採用する鍵について検討する際には、安全性と機能性の高さを考慮するようにしましょう。鍵の位置が低いと、内側から園児が鍵を開けて出て行ってしまう可能性があります。また、できれば遠隔開錠対応タイプのカギをおすすめします。訪問者があるたび開錠のために保育士が業務から離れる必要が生じ、さらなる人手不足を招くからです。
保育室に充分な広さがないときには、区分けをして、スペースを柔軟に活用できるようにするのがおすすめです。
具体的には、パーテーションや持ち運びが可能な棚・ロッカーなどを用いて、臨機応変にスペースを区分けしていく方法です。「ここは食事用のスペース」「ここはお昼寝用のスペース」といったような固定をしなければ、スペースが狭い問題も解決できるわけです。
園児や職員の動線をふまえ、できるだけ無駄の少ないレイアウトにすれば、狭さの問題に対処しやすくなります。そのためにも、子ども同士がぶつかってしまったり、あるいは迅速な対応が求められるときに保育士がスムーズに移動できなかったりするなどの問題が起こらないレイアウトにすることが重要です。
企業や病院の保育所は、働く人の環境もニーズも異なります。だからこそ、「どの保育施設に強いのか」「どのような特徴があるのか」を前提に委託業者を選ぶのがポイントです。